高齢の家族が歩くのに不安を感じ始めたとき、まず検討したいのが歩行器の導入です。しかし、「いきなり購入するのは不安」「そもそも高齢者向け歩行器はレンタルできるのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。実は、高齢者向け歩行器は介護保険を活用して安価にレンタルできる制度があります。この記事では、以前の私も戸惑ったその制度のしくみをわかりやすく解説し、誰でも安心して高齢者用歩行器のレンタルを始められるようになるポイントをお伝えします。
歩行器のレンタルは可能?高齢者が利用できる制度と仕組み

歩行器は、高齢者の移動を助ける重要な福祉用具です。しかし価格が数万円以上するため、まずは高齢者向け歩行器をレンタルで様子を見たいという方も多いです。結論から言えば、高齢者向け歩行器は介護保険を利用してレンタル可能です。ただし、そのためにはいくつかの条件と手続きがあります。
介護保険を使った高齢者向け歩行器レンタルの条件
介護保険を使って高齢者向け歩行器をレンタルするには、まず要介護認定を受ける必要があります。要支援1以上の認定を受けていれば、介護保険の「福祉用具貸与」の対象になります。
レンタルできる歩行器は、厚生労働省が定めた基準を満たした高齢者用の製品に限られます。また、対象となる高齢者の身体状況や生活環境に応じて、ケアマネジャーが必要と判断した場合に限って貸与可能です。
費用は、介護保険の自己負担割合(原則1割、収入によって2~3割)で利用できます。たとえば、月額2,000円の高齢者用歩行器であれば、自己負担は200円〜600円ほどになります。
高齢者が自費で歩行器をレンタルする場合の流れ
介護保険の対象とならない場合でも、民間のレンタルサービスを利用することで高齢者向け歩行器を借りることは可能です。介護ショップや大手ECサイト(楽天市場・Amazon・ヨドバシカメラなど)で取り扱いがあります。
高齢者向け歩行器の自費レンタルの料金相場は、月額1,500円〜4,000円前後です。短期で使いたい場合には1週間単位のレンタルもあり、1週間で1,000円程度という事業者もあります。
ただし、介護保険と違い、メンテナンス費用や配送・返却の送料が別途かかる場合もあります。レンタル前には料金の総額と、契約条件をしっかり確認するようにしましょう。
ケアマネジャーに相談するメリット
高齢者が介護保険を活用する場合は、まずケアマネジャーに相談するのがベストです。ケアプランの中で必要と判断されれば、スムーズに高齢者向け歩行器のレンタルにつなげることができます。
また、ケアマネジャーは歩行器の種類や高齢者の身体状況に合わせた提案ができるため、自分に合った製品を選ぶための心強いサポーターになります。
さらに、契約や申請の手続きも代行してくれることが多く、複雑な手続きが苦手な高齢者でも安心して利用できる仕組みが整っています。
このように、高齢者向け歩行器は条件を満たせば介護保険で安価にレンタルできますし、自費でも柔軟に対応可能です。まずは信頼できる窓口に相談することが、最も確実で安心な第一歩です。
高齢者向け歩行器レンタルの費用はどれくらい?
高齢者が歩行器をレンタルする際に気になるのは、やはりその費用です。費用は介護保険を使う場合と、自費でレンタルする場合とで大きく異なります。それぞれのケースについて、わかりやすく解説します。
介護保険適用時の負担額と相場
介護保険が適用されると、高齢者向け歩行器のレンタル費用の7割から9割が保険でカバーされます。自己負担は原則1割、一定以上の所得がある高齢者は2割または3割になります。
高齢者向け歩行器の介護保険レンタル価格は月額2,000円〜4,000円程度が相場です。たとえば月額3,000円の歩行器をレンタルする場合、自己負担額は1割の方で300円、2割の方で600円、3割の方でも900円程度で済みます。
この金額には定期的なメンテナンス費用も含まれていることが多く、コストパフォーマンスの面で高齢者にとって非常に優れている制度といえます。
高齢者の自費レンタルの料金目安
介護保険を利用できない高齢者や、保険対象外の商品をレンタルしたい場合は自費でのレンタルになります。高齢者向け歩行器の自費レンタルの相場は、月額1,500円〜5,000円程度が一般的です。
短期利用を前提としたレンタルプランもあり、1週間単位で500円〜1,000円程度で借りられるサービスも存在します。店舗によっては長期割引やキャンペーンを実施している場合もあるため、複数の事業者を比較するのがおすすめです。
初期費用・配送料などの追加費用
費用を見積もる際には、月額料金のほかに発生する初期費用や送料などの追加費用にも注意が必要です。
たとえば、高齢者が自費レンタルする場合は以下のような費用がかかる可能性があります。
- 配送・返却送料(1,000円〜3,000円程度)
- 契約事務手数料(500円〜2,000円程度)
- 故障・破損時の自己負担(契約内容により異なる)
一方で、介護保険レンタルの場合は、上記費用が保険でカバーされるケースが多く、高齢者の実質的な自己負担は非常に少額になります。
長期レンタルと購入のコスパ比較
高齢者向け歩行器のレンタルと購入、どちらが得なのかは利用期間によって異なります。
高齢者向け歩行器の購入価格は、おおよそ1万5,000円〜3万円程度が一般的です。これに対して、レンタル費用が月額3,000円の場合、6〜10か月以上使用する場合は購入の方が安くなる計算です。
ただし、レンタルにはメンテナンスや修理対応、不要になった際の返却手続きなど、高齢者や家族の手間を省けるメリットがあります。特に短期利用や、高齢者の症状や環境に変化がある方にはレンタルの方が柔軟性が高い選択肢といえるでしょう。
このように、費用面では介護保険を使うのが圧倒的に有利であり、保険を使えない場合でも自費レンタルという選択肢があります。使用期間やサービス内容をよく確認し、高齢者ご自身やご家族にとって最も負担の少ない方法を選ぶことが重要です。
高齢者向け歩行器レンタルの流れと必要な手続き

高齢者が歩行器をレンタルするには、いくつかの手順を踏む必要があります。とくに介護保険を利用する場合は、事前準備が重要です。ここでは、その具体的なステップをわかりやすく解説します。
要介護認定が必要な理由
介護保険を使って高齢者向け歩行器をレンタルするには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。要介護認定とは、介護がどの程度必要かを自治体が判断する制度で、要支援1以上の認定があれば、高齢者向け歩行器のレンタル対象になります。
この認定を受けることで、介護保険の対象サービスや利用限度額が決まります。認定を受けていないと、介護保険を利用した福祉用具の貸与は受けられません。申請から結果通知まではおおよそ30日程度かかります。
高齢者向け歩行器レンタル業者の選び方
介護保険を利用する場合、地域の自治体に登録された「指定福祉用具貸与事業者」から選ぶ必要があります。登録業者でなければ、保険の適用対象外となるため注意が必要です。
信頼できる業者を見つけるには、ケアマネジャーに相談するのが最も確実です。また、事前に訪問し、高齢者が使いやすさやサイズを実際に確認できるショールームを備えた業者もおすすめです。
手続きに必要な書類や日数
介護保険を利用する場合、高齢者向け歩行器レンタルに必要な書類は以下の通りです。
- 要介護認定通知書
- 主治医意見書(場合による)
- ケアプラン
- 契約書類
これらをそろえ、ケアマネジャーを通じて手続きを行います。スムーズに進めば、申請からレンタル開始まで1週間〜2週間ほどで利用が開始できます。自費レンタルの場合は、もっと簡略で、即日対応してくれる業者もあります。
契約時にチェックすべきポイント
高齢者向け歩行器のレンタル契約を結ぶ際には、以下の点を必ず確認しましょう。
- 利用料金(介護保険の自己負担額)
- 配送・設置・回収にかかる費用
- 故障時の対応と費用負担
- 解約時の手続きや料金
とくに途中解約や故障時の対応が明記されているかは要チェックです。契約書をよく読み、不明点は事前に確認するようにしましょう。
このように、高齢者向け歩行器レンタルの流れは明確にステップ化されており、事前に情報を把握しておけばスムーズに進められます。迷ったときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することが安心への近道です。
高齢者向け歩行器選びで失敗しないためのポイント

高齢者向け歩行器は多くの種類があるため、高齢者の状態や使用環境に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、選ぶ際に注目すべきポイントを詳しく解説します。
高齢者の歩行能力に合ったタイプを選ぶ
高齢者向け歩行器には、両手でしっかり支える「固定型」や、前方に車輪が付いて移動しやすい「交互型」「4点支持型」などがあります。高齢者の足腰の状態や歩行の安定性に応じて、タイプを選ぶことが重要です。特にバランスを崩しやすい高齢者は、より安定感のあるタイプを選びましょう。
室内用・屋外用で何が違う?
高齢者向け歩行器の室内用はコンパクトで小回りが利きやすく、カーペットや畳の上でも動きやすい設計になっています。一方、屋外用は段差や凹凸のある地面でも安定して使える大型タイヤやブレーキ付きのモデルが主流です。高齢者の使用環境に合わせて、適切なモデルを選びましょう。
軽量・折りたたみ式のメリット
軽量な高齢者向け歩行器は、移動や持ち運びがしやすく、階段のある家や外出時に便利です。折りたたみ式であれば収納スペースも取らず、外出先への持ち運びにも対応可能です。高齢者本人が操作するだけでなく、家族や介護者が扱いやすいかどうかも選定のポイントになります。
安全面と安定性のチェック項目
高齢者の安全性を確保するためには、しっかりしたフレーム構造や滑り止めグリップ、ブレーキ機能の有無を確認しましょう。歩行時のふらつきを防ぐためには、重心が安定する構造や適切な幅、高さに調整できるかも重要な要素です。
また、高齢者の転倒リスクを防ぐために試用できる店舗や業者を選ぶことも大切です。実際に使ってみてフィット感を確かめることで、安心して日常生活に取り入れられます。
このように、高齢者向け歩行器は単に「借りればいい」「買えばいい」というものではなく、使う高齢者の生活や身体の状態に合わせて最適なものを選ぶことが非常に重要です。
高齢者向け歩行器レンタルに関するよくある質問

高齢者からよく聞かれる疑問とその答えを、わかりやすく解説します。
高齢者なら誰でも歩行器をレンタルできるの?
高齢者向け歩行器のレンタルは誰でも可能ですが、介護保険を使って安く借りるには「要支援1」以上の認定が必要です。認定を受けていない高齢者の場合は自費でのレンタルになります。
高齢者向け歩行器の返却時に費用はかかる?
介護保険を利用している場合、高齢者向け歩行器の返却時の費用は原則不要です。ただし、自費レンタルでは返却時に送料がかかることがあり、1,000円〜3,000円程度が目安です。契約前に確認しておきましょう。
高齢者向け歩行器が故障したらどうすればいい?
介護保険でレンタルしている場合は、業者が無償で修理または交換してくれるケースが多いです。自費レンタルでは契約内容によって対応が異なるため、事前に「故障時の対応方法」を確認するのが安心です。
高齢者向け歩行器の試用はできる?
一部の事業者では高齢者向け歩行器の事前試用ができるサービスを提供している場合があります。ショールームで実際に試せるケースもあるため、購入や長期レンタル前に体験するのがおすすめです。
まとめ
- 高齢者向け歩行器は介護保険を活用することで経済的にレンタル可能
- 要支援1以上の認定があれば、月額数百円という負担の軽さが魅力
- 自費レンタルでも選択肢が豊富にあり、短期利用にも便利
- 高齢者の身体状態に合わせた適切なタイプ選びが重要
- ケアマネジャーや専門業者と相談して、高齢者に合った歩行器を選ぼう